武骨でも頼れるNM101
500.仕事の日記 February 13th, 2007
春まだ浅き4月、1996年。
仕事を終えて会社から借りだしたトヨタ・エスティマを運転していた。短い休みを実家で過ごそうというのである。
高いポジションから眺める独特の運転感覚は楽しい。大きな車体を感じることなく取り回しも楽で、これはいいクルマだと感心した。
渋滞する首都高速をやっとの思いで抜け、東北道に入って浦和をすぎ、ひと段落ついてようやく落ち着いたので、到着の頃合いを連絡しようと助手席に転がしておいた携帯をつかんだ(当時はまだ運転中の携帯電話の使用は大目に見られていた)。
もう夜の8時をすぎ、東北道は真っ暗闇である。
携帯をつかんだ私ははっとした。
ディスプレーが点灯しない!
その携帯、ノキアNM101は通販で購入して送られてきたばかりで、きょうもあれこれいじっていたところである。省電力の設定などでディスプレー点灯の項目か何かを誤ったようだ。とにかくこれじゃ電話番号を押せない。
だが、ノキアは手探りでも電話帳を呼び出せる。当時の国産携帯と違って電話帳の呼び出しにまず専用のボタンを押す必要がない。
ご存じの方はいるだろう。ドコモの国産N,P,D,F社携帯には「コール」というボタンが付いていた。コールという用語自体が意味のつかめないもので、のちに不評につき改められたが、まずは電話帳を「コール」し、ついで五十音順やら何やらで検索するというものだった。今でも電話機に電話帳アイコンのボタンが付いていて、まずそれを押すというスタイルは一般的と思う。
ノキアの場合は、いきなり中央の上下ナビキーを押せば電話帳を順繰りに呼び出せるものである。
実家の電話番号は一番最初に登録しておいたのであるから、キーを下向きに1回押せばいいはずだ。私は前方を注視しながらも左手でNM101をつかみ、まさに闇夜の手探りでキーを下向きに1回押し、ついで
発信ボタンを押した。プップップップッ、ルルルルルル、ちょっとどきどきする。呼び出し音が数回なって、間違いなく実家につながった。
トヨタ・エスティマは長距離のクルージングが得意のようだ。まったく疲れることなく那須高原を通り過ぎ磐越道に入った。
4月というのに雪が降り、磐梯熱海から一般国道におろされてしまい、遅れの連絡でたびたびNM101を使った。
大きく重く、おまけに四角い武骨な携帯だが、私はこの機種が好きだ。
私のストレート好きを決定的にさせたカッコイイ携帯。
その夜は終始私を安心させ、無事に実家へたどり着くまで故郷の声を届けてくれた。

http://www.nec.co.jp/press/ja/9512/0801.html
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